宇宙スープ

Once upon a time, the Universe expanded from an extremely dense and hot soup

1000年後の未来人からバカにされる現代人の特徴はなんだろう?

現代人から見ると、中世や古代、先史時代の人々はとてつもなくアホに見えることがある。

ヒエログリフの解読が困難だった理由

たとえば、古代エジプトの文字、ヒエログリフの仕様の話だ。
ヒエログリフの解読は非常に難しかったというが、その理由の1つに、「文字を読む順番」がある。

神聖文字/ヒエログリフ

ヒエログリフの解読が困難な理由のひとつは文字の配列である。原則として右から左に詠むが、人や鳥の絵文字があった場合にはその頭部が向いている方が文頭になる。つまり人や鳥が左を向いている場合は左から右へ、右を向いている場合は右から左に読む。さらに位の高い神(オシリスやアヌピスなど)があると文中の人や鳥は皆楚の方を向いてしまう。そのため読む方向がわかりづらくなり、行ごとに向きが変わったり、下から上に読んだりする。

アホすぎである。
まるでこどもが考えだした独自ルールだ。
けれどもこの言語仕様から、当時の人々にとって王や神といった概念がいかに重要なものだったかが推測できる。

モンゴル帝国建国のチンギス・ハンの逸話

権力争いにおいても昔の人々のアホさがにじみ出る案件をしばしば目にする。

Mongol Empire - Wikipedia

Genghis rewarded those who had been loyal to him and placed them in high positions, placing them as heads of army units and households, even though many of his allies had been from very low-rank clans.

チンギス・ハンは彼に忠実であった部下を優遇し、軍のリーダーや側近など重要な役職として起用した。その者たちのほとんどが低い身分の出身であったにもかかわらず。

(訳:私)

歴史上最大の帝国となったモンゴル帝国の始祖チンギス・ハンは、身分にかかわらず忠実な部下を登用したとある。現代では、政治家や起業家が成功した秘訣として、わざわざこのような要因が登ることはない。「身分にかかわらず実力のある者を登用する」など今や当たり前の時代だからだ。

しかし、わざわざこのような記述が現代に伝わるということは、当時のほとんど全ての権力者が「身分制度」という常識にとらわれていたことを示す。だからこそ、その常識を疑ったチンギス・ハンが大帝国を築き上げるに至るのである。

1000年後の未来人からバカにされること

昔の人々は、「王」、「神」、「身分制度」などの常識にとらわれすぎていた。

現代の人々はどうだろう?
現代では、多くの国が国民主権を信奉し、信教の自由を保障し、科学技術を重視している。差別は根強く残るが、それが公の場で肯定されることもなくなった。前述のような「間違った常識」は社会の表舞台ではおおかた克服されたと言っていいと思う。

けれども、私たちは「間違った常識」を全て克服できたのだろうか?
1000年後も今と同じ価値観で暮らしているだろうか?

そんなはずはない。
1000年後の未来人からとてつもなくアホに見える言動が、わたしたち現代人が常識と思っているものの中にあるはずである。

それは、「カネ」じゃないかと最近考えている。

gigazine.net

従業員の給料をアップさせるために、Price氏は自身の給与額を110万ドル(約1億3000万円)から7万ドルに引き下げ、従業員をクビにすることなく最低賃金を増やす計画で、70人の従業員が昇給し、そのうち30人の給料は倍以上に増やすことができたそうです。

最低賃金を上げるためにGravity Payments社のCEOは自らの給与を削った。しかも1/10以下に。
この行動は現代の私たちから見てもネジが数本ぶっ飛んでいる。
ちょうどモンゴル帝国の登用システムが当時はぶっ飛んだ発想だったように。
Gravity Payments CEOのPrice氏が今後も大きな成功を修めるに至れば、1000年後の未来人が読むWikipediaにもこのエピソードが盛り込まれる、とそんなことを思った。

現代人には、個人が稼いだ「カネ」や「利益」を他人のために使う、分け与えるという発想が少ない。都市では個人主義が猛威を振るい、「他人のことは知らん」が正当化される時代である。アメリカでは格差拡大が深刻化し、目立った是正の動きもない。ごくわずかな慈善事業家を除けば、富裕層の大半も一般人と同じ程度に金に固執している。日本においても、自分も含め多くの人が「こどもの貧困」などの諸問題に無関心で居続けるのも根は同じである。

これはたぶん権力者や富裕層だけの問題ではない。多くの人々がその常識から脱却しない限り、社会レベルでは変革しない。現代のインドでは「カースト」による差別が憲法で禁止されているにもかかわらず、国民がそれを克服できていないがためにカーストの影響力が未だに強い。

現代人が今後1000年かけて闘うべき相手は「カネ」だと思う。未来人から軽蔑されないために、行動しなければいけない。NHKスペシャルを見てそういうことを思った。

www.nhk.or.jp